4/22/2006

中村勘三郎

勘三郎が芝居小屋で襲名興行


 歌舞伎俳優の中村勘三郎(50)が7、9月に全国各地に残る芝居小屋で「十八代目勘三郎襲名披露興行」を行うことになり、21日、都内で発表した。秋田県小坂町の康楽(こうらく)館、熊本県山鹿市の八千代座など8劇場。最後は名古屋市中村区の高校の体育館を「平成中村座」に改装して公演する画期的な試みだ。

 「いつかこういうことができたらいいなあと、もう10年以上は思い続けてきたんじゃないかな。でも、何か機会がないとできないじゃないですか。どこもかしこも1度は出てみたい小屋ばかり。今からもうワクワクしてますよ」と勘三郎。

 重要文化財の「康楽館」、100年以上の歴史を持つ「東(あずま)座」(岐阜県白川町)、地芝居のメッカ「明治座」(岐阜県中津川市)、坂東玉三郎も魅せられた「八千代座」、水害から見事に復興した「嘉穂劇場」(福岡県飯塚市)など、それぞれに役者にとっては底知れぬ魅力と、目に見えぬ伝統が宿っている。

 現存する芝居小屋では日本最古の金丸座(香川県琴平町)。勘三郎がテレビ番組の収録で初めて訪れたのは1984年のこと。「その時はもう芝居はやっていなくて、見学料をとって芝居小屋を見せていたんだから。でも、僕は見た瞬間にここでやりたいと思ってね」。東京に帰るとすぐに松竹・永山武臣会長に直談判、「“そんな所でやっても客は入らないぞ”と言われたんだよ」と大笑いした。

 その翌年に「四国こんぴら大芝居」がスタート、わずか3日間の公演だった。今年はすでに22回目、19日間の興行は連日満員。地域の活性化にもつながった。勘三郎は「(今回も)結果的にそうなればうれしい。ただ、人気になろうがお客さんが全国から来るようになろうが、ホテルの値段を上げたり切符を買い占めたり、知らない政治家が出てきたりしないでほしい。いつまでも地域の人たちのものであってほしい」と話した。

 最後を名古屋市中村区に決めたのは「僕の先祖のゆかりの地なんだよね」。高校の体育館を「平成中村座」に改装しての公演は「これが成功すれば、この先どこでも中村座ができるようになる。日本全国、それと海外でもね」と勘三郎のチャレンジ魂からだ。

中村勘三郎が全国各地に残る芝居小屋で「十八代目勘三郎襲名披露興行」を行うことが決めた。

全国興行なのだから、日程調整が大変だろう。

地方の歌舞伎ファンにとっては、幸せなことです。